急な斜面の遊具をいかに安全にするか
困難を極めた設計と建設

──岡部について、どこで知りましたか。ほかにも検討した会社はあったか、最終的に岡部に発注を決めた理由もお教えください。

荒川:ネット遊具を取り入れたかったので、インターネットで調べてお電話させていただきました。新築マンションには室内遊具も入っていて、その依頼先も候補でしたが、斜面地の工事に対する知識、提案力などを検討した上で、様々な実績をお持ちの岡部さんにお任せすることに決めました。

──遊具製作過程で印象に残っていること、エピソードなどがあれば教えてください。

荒川:打ち合わせをするたび、「斜面地を活かして欲しい」というオーダーがどれだけ難しいことであるかを痛感しました。階段から遊具へどうやって繋げるか、遊具の基礎はどこにどれだけの大きさのものを作るか、デッキテラスへはどうやって上がっていくかなど、数えきれないほどの難題がありました。
現場の職人さんたちも本当に大変だったと思います。完成した時に職人さんたちがこの施設を見上げて、「よくやったなあ」と話しているのがとても印象的でした。

小野:斜面地はどうしても遊具のおさまりが悪くなるし、基礎の露出など留意する点も多くなってしまいます。斜度が30度くらいと聞いたときは、正野と「できるかな」と顔を見合わせたことを覚えています。30度ってスキー場の難コースくらいの斜度がありますから(笑)。

正野:設計と施工は安全面には特に気を遣いました。転落防止のための柵の高さは通常でしたら1,100cm~1,200cmで充分なのですが、今回はかなり高めに設定しています。柱1本で支えている箇所もあるので構造検討も念を入れて行いました。さらにすべり台の着地点には怪我や事故防止のためクッション材を敷いています。
弊社としても、今回30度という斜度の遊具建設を行なったことでノウハウを蓄積することができ、さらに自信が持てるようになりました。斜面遊具の提案する時には、必ず成功例として提案書にクジライフプロジェクト様の写真を入れさせていただいています。

岡部だからできる、既製品にはない唯一無二の遊具作りを

──今後、遊具メーカー岡部に対して期待すること、ご希望などがあれば教えてください。

荒川:決められた場所や空間に合わせて最適で安全な遊具を建設するには、かなりの技術と経験が必要だということを、今回の依頼で実感しました。斜面地に遊具を建設する、それだけでも相当大変なことだったと思いますし、岡部さんでなければここまでのアスレチックを作ることは叶わなかったと思います。

岡部さんにはこれからも、一見難しそうだなと思う依頼でもどんどんチャレンジしてもらって、岡部さんだからこそできる遊具を作っていただきたいと思います。
今後も、居住者の皆さんからこうして欲しいという要望があればぜひ相談にのってもらいたいですし、私たちでは思いつかないような斬新なご提案をいただけたら嬉しいですね。
メンテナンスの面でも、きめ細かい配慮をいただき心強いです。居住者の皆さんがこれからも安全に、安心して遊べるように、引き続きよろしくお願いします。