──形に関して、具体的な要望などありましたか?

君塚:形状ということではありませんが、具体的な要望としては、先ほどと重複しますが「ドデカイ」をテーマにした3部作の「完結編」にしたいということでした。 また、ちょうど2021年の夏に第1期のリニューアルをやった際には、小さなお子様が遊べるものが少ないということから、未就学児をターゲットにした遊具にフォーカスして、ボールプールやトランポリン、外の滑り台を増やしました。
今年のリニューアルでは、アトラクションの数を充実させることを目的にしています。
じつは、今年のリニューアルでは、料金体系も変更しています。今までは入園料を払って、アスレチックであれば追加で2,000円を払う、いわゆる課金制をとっていました。それを脱却して、一般的なテーマパークにあるような、オールインワンのパスポート制を導入しました。
パスポート制への変更にあたっては、やはりアトラクションの数が充実している必要があります。
今回行ったリニューアルで、ジャングルジムだけでなく、デジタルランドなどのゲーム施設も入っているのは、料金体系の変更も一つの要因になっています。
リニューアルオープンはちょうどコロナの第7波、計画した時は感染拡大のど真ん中でした。普通は尻込みするところですが、オーナーの強い意向で、こういう時だから先行投資をしようと、間髪入れずに第二弾を実行しました。
こちらの要望を咀嚼して、具体的にプランを組み立ててくれたのが、以前からお付き合いのあるクレアルテの柳原さんですね。

松本:柳原さんは、グロースポーツというコンセプトをベースに、遊び方にルールを求めないという考え方でプランを作ってくださっています。 以前やっていただいた遊具のネットトランポリンの時もそうでしたが、今回のジャングルジムも、頂上を目指すルートが何通りもあって、自分の好きなところ、自分のできるところから、登って行くことができます。特にルールを設けずに、体を動かすことを通して成長していけるという考え方を取り入れてくださっています。

──リニューアル後は、集客に変化はありましたか。

君塚:施設は滞留者数の上限人数が決まっていて、それを超えると入園制限をしなければいけないのですが、今年はお盆・ゴールデンウイーク・土日、けっこうな日数で入園制限をやっていました。その分は、機会損失ということになってしまうわけですが、ジャングルジムが増えたことで、200人の数の上乗せができて、その分がプラスになっています。

松本:7月にリニューアルをして、8月の入園者は目標の150%を達成しました。また、これまでの遊具は小学校3年生までの利用が多かったのですが、ジャングルジムは小学校高学年の方が多くなり、利用も増えました。

──岡部について、依頼した理由や決め手はなんでしたか。

君塚:前年のリニューアルの時に、クレアルテの柳原社長からの紹介でネットトランポリンをお願いしたのがきっかけです。今回は大きな遊具でしたので、他のお付き合いのあるところなども含めて検討し、最終的に岡部さんにお願いすることにしました。トランポリンを作っていただいた実績がありましたので、岡部さんに安心してお任せできました。

「たっぷり楽しい時間をご提供したい」
社長自ら遊具についてのアイディアを出すこだわり

──制作過程で印書に残っていること、エピソードなどありますか?

君塚:実際とちょっと形状はちがうのですが、岡部さんが作ったネットジャングルジムを、事前に山形まで見に行きました。
山形で見た遊具もかなり大きいものでしたが、横に広がっている形状でしたね。
おやつタウンは建築要件でスペースが決まってしまっていて、その決められたスペースを上手に活用する必要があったので、縦に長い形状です。天井の高さのある建物の形状を生かすドデカイシリーズにしてもらいました。

小野:山形は私が同行させていただきましたが、なかなかの珍道中だったので、思い出に残っています(笑)

松本:設計では、何度もやりとりさせていただきました。高さのパターンを3種類だしていただき、いちばん高いものを採用しました。
高さが違うと、アイテムの数も全く変わってきますし、構造上も難しくなるということで、パイプはどんどん太くなっていきましたね。
設置にも、まるまる2ヶ月ほどかかって、主要工事の日は休業にして工事を進めました。

君塚:進行では、社長からの意見で進んでいたことが途中で変更になり、設計担当さん泣かせのスケジュールになってしまっこともありました。
「おやつタウン」の理念は“たっぷり楽しい”というものですが、これには、社長である松田の想いが詰まっています。「ベビースターラーメン」を食べ続けてくれた多くの皆さんへ感謝の気持ちを込めて、たっぷり楽しい時間をご提供したい。そのために、一つ一つの遊具にもこだわりぬいて、よりよいものにするために社長自らアイディアを出しています。

正野:設計では、より良いものにするための建設的なご意見をいただきながら、繰り返しブラッシュアップしてできあがっていきました。
たとえば、一番上部の張り出している2箇所は、もともとはFRPの球体をつける予定で、球がぶらぶら揺れるものになるはずだったのですが、強度の関係で5〜7ミリという厚さのFRPを使用するため、半透明で中から外は見えません。
外が見えないのではスリルとか面白さがないんじゃないかという社長からのご意見をいただき、中から見えるよう設計変更して、最終的にネットを使うことになりました。
ほぼ100%できあがっていた段階だったので変更は大変でしたが、高いところから下を見下ろせる、迫力とスリルのある遊具に仕上がりました。

小野:使う方目線の発想でのアイデアをいただき、結果、すごくよい形に仕上がったと思います。