キッズスペースがもたらした幅広い顧客層への影響。
未来志向で目指す、集客の最終着地点とは。
Gスクエア五福(トヨタモビリティ富山株式会社)スペシャルインタビュー

2024年1月にリニューアルオープンした、富山市にある「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福」。ショールームに大型キッズスペースを導入し、ファミリー層も含めた幅広い顧客満足度向上と地域社会への貢献を目指した、革新的な取り組みを進めていらっしゃいます。 (株)岡部では、店内の木製大型遊具を、遊具設計から制作・施工まで一貫して担当しました。 店舗リニューアルにあたり、大型遊具を設置した理由、設計のこだわり、そしてビジネスへの影響について、Gスクエア五福店長を務めるトヨタモビリティ富山株式会社の谷口勝紀様に、 (株)岡部空間クリエイティブ部の渡辺と、設計を担当した林が、お話をうかがいました。
子どもが安心して遊べるキッズコーナーを
幅広い顧客層に向けた店舗改装で導入した理由とは
──大型の遊具を設置することになった経緯をお聞かせください。
谷口店長:店舗の改装にあたり、キッズスペースを岡部さんに依頼しました。
トヨタモビリティ富山は、 元々は取扱車種によって分かれていた3つの販売会社を、 4年前に統合して生まれました。
この店舗は以前は富山トヨペットという会社で、比較的年齢層の高めのお客様にご利用いただいている店舗だったのですが、全車種を取り扱うようになり、お客様の層もより幅広く変化しています。
私は2年ほど前にこちらの店舗に配属になったのですが、その頃は、ショールームと点検整備場の間をつなぐスペースが待合室になっていて、2つある大きな空間が分断され、統一感もないような状況でした。
そこで、本部の意向もあって、一体感のあるショールームとして店舗を改装することになり、子どもが安心して遊べるスペースも作ることになりました。
全車種を取り扱うようになって来店客層が広がり、子ども連れの来店が増えたことも、遊具施設導入の後押しになりました。

また、車のショールームでの商談は、説明しなければならない内容も多岐にわたるため、長時間になりがちです。お子様が小さく、手がかかる年齢だと、誰かに預かってもらわないと来られないということになってしまいます。
改装にあたっては、幅広い年齢層のお客様にとって優しい環境、乳児や幼児、どんな年齢のお子様がいても、安心してご来店いただける環境を整えたいという思いもありました。
私にも、小さな子どもを持つ親として経験があるのですが、休日に出かけると、子どもは必ず遊べる場所に行きたがりますし、本当に夢中で遊んでいますよね。
販売店にも、そういう遊びのスペースがあれば、親御さんも安心して過ごせるだろうと考え、期待を寄せていました。


──遊具を初めてご覧になった時の印象はいかがでしたか?
谷口店長:はじめにイメージパースを見せてもらった時は、やっぱり感動しましたね。想像していた以上のものが実現できていたので、すごいなと。
いろいろな年齢のお子様に対応できるような形にしたいという希望でしたが、キッチンセットのような小物だとか、いろいろな遊びを盛り込んだりとか、すばらしいものが出来上がったなと思います。




子どもがいつまでも退屈しないキッズスペースは
「またここに来たい」魅力のある遊び場
──遊具について、ご利用者様からの反応はいかがですか?
谷口店長:お子様は来店されると、まっしぐらに遊具に走っていって、ずっと遊んでいます。走り回って、登って、滑って、中に入って、ぐるぐる回って遊んで、いつまでも退屈しないんですよね。
いろいろな要素がふんだんに入っていて、踏んだら音が出たり、ちょっと動きのあるものがあったりして、本当に小さなお子様から、楽しんで遊んでくださっています。
付き添いで遊具の中に入られる親御さんも多いですが、一緒に楽しむことができるようになっているので、安心してご利用されていると思います。
お客様、お子様のいるファミリーからの評判は大変良くて、「またここに来たい」というお声を多くいただきます。
実際、リピータの方が増え、お客様の来店回数が増加していることを実感しています。


──遊具を設置したことで、事業の面で何か変化はありましたか?
谷口店長:今までは、点検でいらっしゃるお客様は、ほぼ1人でのご来店でしたが、小さなお子様がいるご家庭では、家族でのご来店が増えています。
また、当社では、併設するホールでイベントを頻繁に開催しているので、キッズスペースが目的だけではない、多くのお客様がご来店されます。
じつはこのイベントも、キッズスペースがあることで、相乗効果が生まれています。イベントが盛況の際に、待ち時間が長くなってしまう事も多々あるのですが、キッズスペースで遊んでいられるので、お子様にも待ち時間を楽しく過ごしていただけるようになりました。
イベントに参加される方も、リピーターになる方が多いですね。
──滞在時間も長くなっていますか?
谷口店長:はい、お子様連れのお客様の滞在時間が長くなっています。
商談の場合、いろいろな手続きなどで2~3時間かかることもあるため、以前ならお子様がぐずって、出直さなければならないという方もよくいらっしゃいました。キッズスペースができてからは、安心して商談を進めることができるようになりました。


口コミや紹介の来店者が増加
外から見える位置で注目度も抜群
──キッズスペースは、集客や顧客層に影響を与えていますか?
谷口店長:当店は、小さいお子様がいるファミリー層がターゲットというわけでなく、特定の顧客層に限定せずに、すべての人に安心してくつろげる空間を提供したいと考えています。
ただ、キッズスペースがあることで、2世代もしくは3世代のファミリーでご来店される方は、確実に増えました。口コミやご紹介も増え、キッズスペースを目当てに来店されるお客様もいらっしゃいます。子連れで来店することへの抵抗感がなくなったという声もありました。
また、ガラス張りの店舗で、外から遊具が見えるため、通りががりに見かけてご来店くださる方もいて、宣伝効果も感じています。
当初は、受付のある施設の中央あたりに設置しようという案もあったのですが、外からは見えない場所でした。ショールーム側にあることで、人の流れも生まれますので、今の場所に設置して正解だったと思います。

来店者数は数字を正確に計測しているわけではないですが、肌感として改装前の1.5倍以上は確実に超えていると思います。
リピーター率も高く、他店で同じ車を見ても、お子さんが「ここに行きたい」と言うため、来店につながるというケースも多いようです。
新規のイベントで来店されたお客様から、「今日はありがとう。買うタイミングになったらぜひお願いしたい」という言葉をいただいたり、店舗の印象が明るく、子どもの遊び場があるのが良いという評価を受けています。


「何となく敷居が高い」
来店者の心理的ハードルを下げたキッズスペース
──売上にも良い影響はでていますか?
谷口店長:車の供給が不安定な状況はまだ続いているため、台数としての増加は明確ではありませんが、キッズスペースがきっかけになっているケースはあると思います。
ただ、我々が進める店舗づくりは、車を販売するということが目標ではないんです。幅広い年齢層のお客様に安心してくつろげる空間として利用していただきたい、という思いがあるんですね。
以前の店舗ではショールームの空間が分断され、スペースが有効に活用できていない状況でした。点検などで来店する顧客が高齢層に偏っていて、小さい子ども連れの家族が来店しにくい雰囲気もありましたし、小さい子ども連れの顧客が安心して過ごせる環境が不足していたのも、要因になっていたと感じています。
さらに、カーディーラーは敷居が高いと思われがちです。車を検討していなければ、何となく入りづらいという雰囲気がある。その敷居が遊具施設があることで下がって、入りやすくなったと感じている方は多いように思います。
また、ホールで開催しているイベントも、同じように、気軽にご来店いただくきっかけづくりになっています。
特にスポーツイベント「スポスポ」は、お子様の健やかな発達に寄与できる、地域貢献の一環という側面もあるイベントです。お子様の体力測定を行い、そこから向いているスポーツが診断結果としてわかるというもので、定期的にたくさんの方にご参加いただいています。

安全面と見守り者への配慮には
遊具の専門家ならではの経験が生きている
──遊具制作過程で、印象に残っていること、エピソードなどはありますか?
遊具の細かい部分に関しては、専門家である岡部さんに全面的にお任せしました。たとえば、安全面の配慮など、具体的な部分については信頼しきって、お任せできましたね。
窓のガラスの出っ張りにつけていただいたガードも、安全面の配慮としてお願いしたものです。一緒に、シートを設置してもらったので、見守りの親御さんが腰掛けることができて、さらに利用しやすくなりました。遊具メーカーさんならではの、経験値の高さを感じます。
また、改装前から勤務しているスタッフには、以前は子どもたちが暇そうにしている姿が見受けられたのに、そのようなことがなくなったと聞いています。以前あったビデオコーナーをなくしたのですが、復活してほしいというお声もないようです。それだけ、キッズコーナーの遊びに夢中になってくれているということかもしれないですね。


──今後、岡部に対して期待すること、ご希望などありますか?
今は子どもたちが夢中になって遊んでいる遊具でも、5年後、10年後には、飽きてきてしまう可能性もあると思います。そういったタイミングで、ニーズにあわせて遊具も更新して行けたらいいなと思っています。
この遊具は、パネルを交換するだけでイメージをがらっと変えることができると聞いていますので、先々そういうイベントも考えられると思っています。位置を動かすこともできるようになっているので、店舗のレイアウト変更があった際にも、対応してもらえるのがありがたいですね。
また、今の遊具は対象年齢が比較的小さいお子様向けになっているので、ふわふわドームのような、もう少し大きなお子様が楽しめるものが追加であっても良いかもしれません。
岡部さんには、今後もぜひ、いろいろと相談にのっていただきたいと思っています。


安心して過ごせる環境を提供する
顧客満足度を高めることこそが未来へつながる
我々が目指しているのは、完全来店型のスタイルです。
今どこの企業も人手不足が深刻になっていますし、今後もこの状況は続くでしょう。昔のようなお客様を訪問するスタイルでなく、お客様に来ていただける場所になることが求められています。
普通は、車の販売だとか、売り上げだとかに軸を置いてしまうのでしょうが、それではコスパ・タイパを意識してしまい、結局はお客様が満足できるサービスを提供できません。
人に軸を置くことで、しっかりお客様に誠意を伝えることができますし、その部分を大切にしていきたい。少子高齢化の中で、お客様からの信頼を得て、それをしっかり守っていけるサービス、ここだから来たいという店舗環境を作り上げていきたいと考えています。
カーディーラーではありますが、車を売ることだけを優先して考えることをしない。顧客満足度を重視し、安心して過ごせる環境を提供することで、結果的に売上にも繋がっていく。それはいま着実に実現しつつありますし、今後も我々の未来につながっていくと信じています。
