こどもたちのワクワクと成長を育む空間。
「深谷らしさ」あふれる県内最大級の屋内遊び場が誕生!
2026年4月に埼玉県深谷市に誕生した「こどもふっかパーク(深谷市こども館)」は、新設された幼稚園に隣接する、子育て支援のための複合施設です。深谷らしいモチーフが散りばめられた県内最大級の屋内あそび場は、こどもたちのワクワク感や多様な成長を引き出し、地域の子育てを支える新たな拠点として期待を集めています。
今回は、深谷市こども青少年課の逸見 彰太様、建物の設計を担当された株式会社桂設計の白須 若菜様、多重知能理論の研究を行う金沢大学の有賀 三夏先生に、(株)岡部 営業担当の四日、設計担当の廣野、施工担当の青山が、お話をうかがいました。(本文の敬称略)
建設の経緯と
大型あそび空間に込めた想い
――「こどもふっかパーク」を大規模な複合施設として整備するに至った経緯をお聞かせください。
逸見様:深谷市では、夏は暑く冬は寒いという気候もあり、天候に関わらずこどもたちが集まって多様な交流や体験ができる場所が不足していました。以前から児童館が一つもない状況だったため、こどもたちの健全育成や子育て支援の拠点となる場を新たに設ける必要がありました。
また、幼稚園の再編計画で令和8年度に新園を開設するタイミングと重なったことから、両施設が相互に連携できるなどのメリットを踏まえ、隣接する幼稚園との複合施設として建設することになりました。
――今回、県内最大級となるオリジナルの大型あそび空間を導入されました。これにはどのような意図や期待がありましたか?
逸見様:県内最大級の屋内あそび場を作ることで、こどもたちの「ここに来るとワクワクする」「新しいことに挑戦したくなる」という気持ちを自然に引き出したいと考えました。
ここは単に遊具を提供する場所ではなく、こどもたちが成長するための「体験の場」でありたいと思っています。岡部さんに作っていただいたこの広い空間だからこそできるダイナミックな動きや、仲間と協力しながら遊びを発展させる経験を大切にした設計をお願いしました。
――建物の設計を担当された桂設計様は、どのようなコンセプトで空間をデザインされたのでしょうか?
白須様:プロポーザルの段階から「和みの場」「交流の輪」「引き継がれる循環」という“3つのわ”をコンセプトに掲げました。エントランス上の丸いテラスから始まり、ふっかちゃんの部屋、親子の輪、そして隣接する図書館や公民館へと、波紋のように輪が広がっていくイメージです。そこに、深谷市の地域特性やご要望を入れ込んでいきました。
また、こどもの施設だからといって原色でカラフルすぎるものではなく、大人もリラックスして心地よく過ごせる空間を目指しました。木や緑、白を基調として自然に溶け込む内装にし、保護者の方が休憩スペースからアリーナも見渡せて、見守りの安心感や視線の繋がりも大切にしています。
――遊具メーカーとして岡部を選定していただいた理由は何だったのでしょうか?
白須様:空間を利用する遊具の可能性が飛び抜けていたからです。「これからの深谷にしかないものを作るには、岡部さんしかいない」と感じました。
四日:設計段階からお話を伺い、「ワクワク感のあるもの」「深谷らしいもの」というキーワードからイメージを膨らませ、提案を重ねていきました。
逸見様:発注時に私たちが重視したのは、「こどもが自由な発想で遊べる空間」「ここでしか遊べない遊具」「ワクワク感」の3点です。「ゆりかごひろば」や「ごっこひろば」で育ったこどもたちが、やがて「ヤサイ平原」「レンガ山」「オトの谷」といったそれぞれのフィールドへ冒険に出ていくというストーリーをイメージしていました。
市として求めていたこの「独自のストーリー性」「地域性の反映(深谷らしさ)」「こどもがワクワクするダイナミックな遊び空間」という非常に高い要求にしっかりと応え、形にしてくれるメーカーが、岡部さんでした。
ワクワク感を形に!
「深谷らしさ」を詰め込んだこだわりエピソード
――実際に遊具の製作過程で、印象に残っているエピソードはありますか?
逸見様: 深谷にしかない遊び空間を作るために、「野菜」「レンガ」「ふっかちゃん」といったキーワードを軸に何度も意見交換を重ねました。地域の魅力を遊具に落とし込むのは簡単ではなかったと思いますが、岡部さんのチームが一つひとつ丁寧に形にしてくださり、打ち合わせのたびに新しい発見がありました。 こどもたちが自然と触れたくなるような“畑のヤサイ”や、深谷の歴史を感じられる“レンガ”の質感表現、そして大人気の“ふっかちゃん”を取り入れる工夫など、細部へのこだわりには本当に感心させられました。
白須様: ふっかちゃんの部屋についても、元々は別の施設での構想があったと伺っていたのですが、ここで提案させていただき、可愛らしいスケッチを描いてもらって誕生したという経緯がありましたね。
あと、イラストレーターさんにお願いした壁面のイラストも印象的でした。コーンサークルという遊び場で、外側のブロックがとうもろこしに見立ててはずれる仕掛けがあるのですが、コーンを外すと中にかわいいイラストが描かれています。これはイラストレーターさんの作業当日に、その場でお願いをしたところ、即座に楽しく描いてくださって。そうした遊び心がどんどん積み重なって、いい空間になっていきました。
逸見様:また、ふっかちゃんに関しては、お部屋だけでなく、テラスになんと3mもある大きなふっかちゃんのバルーンも設置されるんですよ。
――3mですか!それはこどもたちも大喜びしそうですね。施設のシンボルとして、大きな集客効果も期待できそうです。
廣野: 埼玉エリアでこれだけ空間をダイナミックに使った遊具は他にないと思います。天井の高さまで目一杯使い、深谷の特徴をモチーフにしながら、建築と一体となった遊び空間をご提案させていただきました。
青山: 複合施設ということで短期間での工事となり、現場ではご心配をおかけした部分もあったかと思いますが、地元の方々をはじめとする皆様の高い品質意識があったからこそ、結果的に非常に質の高いものになりました。皆様に満足いただける形に納めることができて本当に良かったです。
日本初の「多重知能理論」を本格的に取り入れた
インクルーシブな空間
――今回はインクルーシブの考え方を取り入れた施設になっていますが、その中で有賀先生の「多重知能理論」はどのように活かされているのでしょうか。
有賀先生: 「多重知能理論」とは、ハワード・ガードナー博士が提唱した理論で、人間には言語・論理数学・音楽・対人・身体運動・内省・空間・博物学など8つの知能領域が備わっており、その組み合わせや強さは一人ひとり異なるという考え方です。岡部さんとこの理論をもとに子どもたちの遊び場づくりについて話し合いを重ね、この施設の遊具には8領域すべての知能の要素が取り入れられています。多重知能理論をこれほど包括的に反映した遊び場は、日本ではまだ他に例のない貴重な空間だと思います。
廣野: インクルーシブという言葉を「包括的な、いろんな人が楽しめる空間」と捉え、多重知能理論と結びつけました。例えば音楽が好きな子に向けて音の鳴る遊びを取り入れるなど、8つの知能領域それぞれに対応する遊びの要素を取り入れ、有賀先生に確認していただいた各知能のレーダーチャートを参考にしながら、得意なことも好きなことも一人ひとり違うからこそ、どの子にも「自分の遊び」が見つかる、そんな空間を目指しました。
有賀先生: 一つの遊具でも、こどもたちの個性や得意な知能領域によって、さまざまなエントリーポイント(入り口)から何倍も楽しく遊べる仕組みになっています。また、「多重知能理論」では、人間には8つの知能領域がそれぞれの形で備わっており、得意なことも、そうでないこともあって当然で、「それでいいんだよ」という視点を大切にしています。何でも平均的にできるようになることを目指すのではなく、この遊具の中で大好きな遊びを発見し、そこから他の知能領域も自然と引き出されていく。こうした理論的な裏付けを知っていただくことで、子育てに奮闘するお母さんやお父さんが「この子はこの子らしいペースで、ちゃんと輝いているんだな」と、嬉しい発見ができて、親子が一緒に笑顔になれる場所になってほしいと願っています。
四日:有賀先生からお話が出ていたように、多重知能理論を、これだけの大規模なスペースで導入するのは初めてのことなので、私も担当として携わることができて本当に嬉しく思っています。
誰もがのびのびできる場所
「こどもふっかパーク」を子育てを支える拠点に
――完成した遊具をご覧になって、仕上がりはいかがでしょうか。
逸見様: 岡部さんが手がけた遊具には、我々が期待していた“ワクワク感”が随所に感じられます。安全性への配慮はもちろんですが、遊びの幅が広がる工夫が丁寧に盛り込まれており、完成度の高い仕上がりだと感じています。インクルーシブな空間づくりやユニバーサルデザインにも配慮し、誰もがのびのびと遊べる空間になりました。
――深谷市として、今後の目標や展望をお聞かせください。
逸見様: 多くのこども達に気軽に足を運んでいただき、「まだ帰りたくない」「また来たい」と思ってもらえる施設を目指します。こどもたちが安心してのびのびと遊び、保護者の方がほっとできる、家でも学校でもない“居場所”として利用されることを大切にしたいです。
また、地域資源や企業との協働を通じて深谷ならではの体験を提供し、子育ての悩みを気軽に相談できる環境も整えていきたいと考えています。ここが「地域の子育てを支える拠点」として親しまれるよう、運営面でも工夫を重ねていきます。
――最後に、岡部への期待のメッセージをお願いいたします。
逸見様: 遊具導入を検討する際は、地域のニーズやこどもの嗜好をよく理解し、反映させることが重要です。設計段階で意見を取り入れ、地域性を感じられる遊具を作ることで、こどもたちが長く愛着を持つ空間になりますし、ユニバーサルデザインに配慮することも欠かせません。
岡部さんには、今後もこどもたちの「やってみたい」「触れてみたい」という気持ちを引き出す遊具づくりに、ぜひ力を発揮していただきたいです。安全性や創造性の両立はもちろん、地域の特色やストーリーを遊びの中に取り入れる御社の姿勢には、これからも大いに期待しています。また、実際に遊ぶこどもたちの反応や現場の職員の声を拾い上げながら、より使いやすく魅力的な遊具へと進化させ、長く愛される遊び場づくりに向けてこれからも取り組んでいただければと思います。
四日・廣野・青山:本日はお忙しい中、長時間にわたりお時間をいただき、ありがとうございました。