お客様の声

Voice.03 埼玉県桶川市

アズ歯科

これからの医療施設において「遊具」ができること。

2020年に(株)岡部が遊具設計から制作・施工までを一貫して担当した、埼玉県桶川市の「アズ歯科」。
同敷地内での診療スペース増設にあわせ、待合室に設置する大型遊具制作をご依頼いただきました。
子ども専用ではない歯科医院での大型オリジナル遊具のご依頼には、どんな思いがあったのか。アズ歯科の鈴木院長と中村院長に、(株)岡部東京支店の小野と正野がお話をうかがいました。

「歯医者さんじゃないみたい」
子どもたちが夢中で遊ぶ大型遊具スペース

──遊具を初めてご覧になった時の印象はいかがでしたか?

鈴木:とてもワクワクしましたね。天井高があるので、図で見ていたイメージよりインパクトがあって。子どもたちが笑顔ではしゃぐ様子が目に浮かびました。

中村:想像していたものより大きく感じました。遊びのアイテムも沢山あり、こんな楽しそうな遊び場は、僕らの子どもの頃にはなかったなぁ、と思いました。

−−患者様からの評判はいかがですか?

中村:患者さんには「歯医者さんじゃないみたい」とよく言われます。実際に、遊びに夢中になって、診療が終わっても帰りたくないと泣いちゃう子どももいるぐらい。

鈴木:「あそこで遊びたい」と言って来てくれる子どもは増えたと思います。
遊びたいから、診療時間より少し早めに来たり、終わった後も残って遊んでいたりする子どもたちを、よく見かけます。このエリアは、近所に大型遊具で遊べる施設が少ないということもあるのかも知れませんね。

「患者さんにとって“楽しい場所”にしたい」
想いを体現するチャレンジの一つが大型遊具だった

−−院長先生のお二人は、学生時代からのお仲間だとうかがいました。

中村:同じ大学の同級生で、お互いを10代の頃から知っている仲です。学生時代から「一緒に何か楽しい事をしたいな」とよく話し合っていて、本当に患者さんのためにお役に立てる歯科医療を提供したいという思いから、一緒に開業することになりました。

−−一般の歯科医院でオリジナルの大型遊具を設置したいと思ったのは何故ですか?

鈴木:歯科医院はどうしても「怖い」イメージを持っている方が多く、そこを改善して立ち寄りやすい場所にする事を目標にして、普段から診療しています。
楽しい雰囲気づくりをしたい、気軽に遊びに来るようなイメージの歯科にしたい。その一つとして、遊具の設置も以前から考えていました。
開業して1年ほどで、同じ敷地内に新館を開設することが決まり、テナントの建物が通常より天井を高くできることがわかって。それなら大型の遊具を設置できるということで、具体的に遊具設置の検討をはじめました。たまたま良いタイミングが重なって、実現することができたと思います。

中村:本院でもキッズスペースを設置していますが、絵本や遊具で静かに遊べる、他でもよく見受けられるタイプの遊び場です。新館の大型遊具は、思い切り体を使って遊ぶことのできるスペースになっていて、他には見られないもの。
ガラス張りで外から見える位置にあることで、通りがかりにぱっと見て楽しそうなイメージが伝わり、子どもが遊びたい・行きたいと思える場所になっていると思います。

−−医療設備ではない大型遊具にお金をかけることに躊躇いはありませんでしたか?

鈴木:当院は住宅街にあり、向かいに幼稚園があったり学校が近接したりしている場所です。地域柄ファミリー層が多く、お子さんや子ども連れの患者さんも多いので、遊びに来るような感覚で来てもらいたいという気持ちが強くありました。
確かに利益という側面ではマイナスかも知れませんが、利益をあげることよりも、患者様の恐怖心や不安を取り除き、より良い歯科治療を提供することに重きをおきたいと考えています。もちろん経営も大切ですから、専任の事務長をおいて、マネジメントをしっかりやってもらっています。

イベントへの参加や企画を「思い切り楽しむ」ことで
地域とのつながりを深める

−−新館は、待合スペースも広いですね。

中村:遊具のある新館受付の待合スペースは、イベントなどにも活用しています。
たとえば、虫歯予防週間では、遊具に隠されたクイズを探して正解できたら歯に良いお菓子がもらえる「宝探し」を子ども向けに行いました。
また、この場所にヨガマットを敷いて、当院の理学療法士スタッフによる生活習慣の指導も行っています。食べる姿勢やベロの使い方など、運動機能の面から虫歯を作りにくいクセをつけることが虫歯予防に役立ちます。

鈴木:当院には管理栄養士スタッフもいるので、食育のイベントなども行っています。
じつはスタッフの発案で、近所に畑を借りて野菜を育てているんですよ。収穫体験やいも判づくりなど食育のイベントを行ったり、野菜を近所の方に配ったり、地域に密着した自主イベントを行っています。

中村:地域イベントにも積極的に参加していて、飲食店イベントで綿飴をつくったり、人形すくいやバルーンアートをやったり。イベントを通して「こんな人たちがやっている歯医者さんなんだ」と知ってもらえますし、何より自分たちも楽しんでやっています。

鈴木:私たちは「虫歯ができたから行く」から「虫歯にならないために行く」という発想の、今までとは違う予防管理型の歯科医療を提供していきたいと思っているんです。
虫歯になる前に、もっと歯科に足を運んでもらいたい。イベントを通して虫歯予防の大切さを知ってもらったり、地域の方とのコミュニケーションを深めたり、大型遊具を導入したことも、その最初の取り組みでもあると考えています。

医療施設のこれからを変えていくために
「遊具」ができること とは

−−そもそも岡部を知ったきっかけ、発注を決めた理由はなんでしたか?

鈴木:内装業者からの紹介です。
新館は4m50cmまで天井があげられることがわかったので、受付含めたスペースで子どもと一緒にイベントができるような設計をお願いしていました。天井高のある空間を活かして何かしたいと相談したところ、天井釣りのネット遊具が面白いのではないかということになり、岡部さんを教えてもらいました。
最初からネット遊具を希望していて、それなら岡部さんが良いということだったので、特に他を検討することはなかったですね。岡部さんから体を使って遊べるネット遊具を提案してもらえたので、お願いすることに決めました。

−−設計や制作・設置に関してのやりとりは、どうでしたか?

鈴木:当初は、天井にネットを吊るした遊具を希望していて、そのように設計してもらったのですが、テナント施設側から許可がおりなかったんです。
それで、代替案として自立した遊具の設計を再度お願いしたところ、自立するという条件の上で迫力もある、魅力的な遊具を提案していただけました。

中村:こんな大きな遊具で自立している、というのがすごいですよね。大きいだけでなく、ネットやボルダリング、タワー、おままごとのキッチンなど、いろんな遊びの要素がぎゅっと詰まっています。ボルダリングをあがってネットを通って反対のタワーから降りてくる。その逆もあって、ぐるぐる回遊して遊べるのが楽しいですね。

−−遊具を設置してみて感じたこと、医療施設として今後の遊具メーカーに期待することがあればお教えください。

中村:まず感じるのは、パッと見たわかり易さ。楽しそうな場所ということを伝え、興味を持ってもらうのには最適でした。
私たちの理念を患者様に伝えるには、まず知っていただかなくてはいけない。自分たちにとって大型遊具は、歯医者さんは怖くない、楽しい場所ということを伝える、その入り口になってくれています。

鈴木:今後、患者様に選ばれる医療施設になるには、理念やコンセプトが非常に重要になってくると思います。
直接的な利益を生み出さない設備・施設は、一見、無駄に思えるかも知れません。でも、そこに込められているのが患者様を思う気持ちであれば、おのずと届いていくものだと思います。
特に遊具は、遊ぶ子どもたちはもちろん、周りの大人も笑顔にしてくれる、心が躍る楽しさがあります。
怖いというネガティブなイメージを変えてくれる遊具の価値と役割。
岡部さんのようなメーカーに、遊具によって医療施設にもたらされる共益性や可能性を、これからもっと拡げていっていただきたいなと思っています。