お客様の声

Voice.08 三重県津市

株式会社おやつタウン様

来場者が何度も繰り返し遊びたくなる

テーマパークの遊具に求められる「こだわり」とは。

岡部遊具お客様の声 おやつタウン様

三重県津市にある「おやつタウン」は、子どもから大人まで愛される“ベビースターラーメン”のテーマパーク。2022年7月のリニューアルで設置した大型遊具『超ドデカイジャングルジム』の設計から制作・施工までを岡部が一貫して担当しました。株式会社おやつタウン取締役本部長の君塚様、広報担当の松本様に、遊具のコンセプトや設置後の反響についてうかがいながら、担当した(株)岡部東京支店の小野と正野が遊具制作にあたってのエピソードなどを一緒にお話しさせていただきました。

インパクトにこだわった超大型ジャングルジム

──出来上がった遊具を初めてご覧になった時の印象はいかがでしたか?

君塚:まずは「デカい!」、ですよね。この「超ドデカイ」が遊具のキーワードになっていますから。
それと、遊具のフォルムに曲線が使われているところが優美で、なんて素敵なんだろうと思いました。ジャングルジムは鉄骨で普通なら直線的なものだと思いますが、見たことのない形がファンタジックでとても綺麗だなと感じましたね。

松本:私は実際に遊ばせてもらったんですが、大人でも、すごく楽しめます。柱の間がすべてネットになっていて、けっこう遊ぶのに体力を使うんですよ。一番高いところで9mとビルの4〜5Fぐらいの高さがあるので、そこまで登るとまわりがすべて見渡せるんです。もちろん、子どもでも一番上までいけるようになっています。

──ご利用者様からの反応はいかがですか?

君塚:ご利用者様を見ていて圧倒的に多いのは、お子さんの写真をたくさん撮っている親御さんです。いわゆる「映える」写真が撮れるので、SNSに投稿してくださって、その拡散の効果はすごく大きいですね。
定期的にゲストのアンケート調査を行っているのですが、満足度で「想像以上に楽しかった」「想像通り楽しかった」という意見があわせて80%を超えています。

松本:小学生はもちろん上まで登って遊んでいるんですが、未就学児や小さなお子様も1Fのところでハイハイして遊んでいて、お父さんお母さんが写真に撮っているのを見かけますね。本当に小さい子から小学校高学年、もっと上の大人まで遊べるので、みなさん楽しんで遊んでくださっていますね。

君塚:そこは想定した通りで、嬉しいですね。

松本:ジャングルジムで遊んでいる時間はアンケート結果では平均で15分〜30分ぐらいですが、これは平均なので、中には60分以上遊んでいるお子さんもいます。また、他に行ってまた戻って遊ぶというように、何度も遊ぶ方も多いようです。
開演前から並んで、入場すると、まずはこのジャングルジムかアスレチックに行く、という方が多いですね。
施設全体の滞留時間でも、リニューアル前よりも1時間延びていて、かなり長くなっています。

自分のペースで自由に遊べる遊具は
年齢問わず何度でもリピートしたくなる

──「超ドデカイ」を遊具のコンセプトにした理由、きっかけは何ですか?

君塚:ジャングルジムのできたエリアには、もともとアスレチックとスライダーがメインの遊具としてあります。その2つの特徴が「超ドデカイ」ということ。アスレチックは出来た当時で屋内型として国内最大級と言われていましたし、「ほしおくんスライダー」も、高さが9mあります。
「ドデカイ」が2つあって、さらにもう一つ「デカイ遊具」が欲しいということになりました。
もともと「ドデカイ」をコンセプトにする最初のきっかけは、「たっぷり遊んで体を動かして、お腹をすかして、おやつに向かう」という施設全体のテーマ。
体を思いっきり使って楽しく遊ぶための遊具をつくるのに、せっかくならインパクトのあるものを、ということになり、一番わかりやすい「大きさ」がコンセプトになりました。

松本:お子様からしたら、たぶん相当驚きのある大きさです。普段は公園の滑り台などで遊んでいるお子さんたちからすると、すごく大きく感じるんじゃないかなと思います。

──形に関して、具体的な要望などありましたか?

君塚:形状ということではありませんが、具体的な要望としては、先ほどと重複しますが「ドデカイ」をテーマにした3部作の「完結編」にしたいということでした。 また、ちょうど2021年の夏に第1期のリニューアルをやった際には、小さなお子様が遊べるものが少ないということから、未就学児をターゲットにした遊具にフォーカスして、ボールプールやトランポリン、外の滑り台を増やしました。
今年のリニューアルでは、アトラクションの数を充実させることを目的にしています。
じつは、今年のリニューアルでは、料金体系も変更しています。今までは入園料を払って、アスレチックであれば追加で2,000円を払う、いわゆる課金制をとっていました。それを脱却して、一般的なテーマパークにあるような、オールインワンのパスポート制を導入しました。
パスポート制への変更にあたっては、やはりアトラクションの数が充実している必要があります。
今回行ったリニューアルで、ジャングルジムだけでなく、デジタルランドなどのゲーム施設も入っているのは、料金体系の変更も一つの要因になっています。
リニューアルオープンはちょうどコロナの第7波、計画した時は感染拡大のど真ん中でした。普通は尻込みするところですが、オーナーの強い意向で、こういう時だから先行投資をしようと、間髪入れずに第二弾を実行しました。
こちらの要望を咀嚼して、具体的にプランを組み立ててくれたのが、以前からお付き合いのあるクレアルテの柳原さんですね。

松本:柳原さんは、グロースポーツというコンセプトをベースに、遊び方にルールを求めないという考え方でプランを作ってくださっています。 以前やっていただいた遊具のネットトランポリンの時もそうでしたが、今回のジャングルジムも、頂上を目指すルートが何通りもあって、自分の好きなところ、自分のできるところから、登って行くことができます。特にルールを設けずに、体を動かすことを通して成長していけるという考え方を取り入れてくださっています。

──リニューアル後は、集客に変化はありましたか。

君塚:施設は滞留者数の上限人数が決まっていて、それを超えると入園制限をしなければいけないのですが、今年はお盆・ゴールデンウイーク・土日、けっこうな日数で入園制限をやっていました。その分は、機会損失ということになってしまうわけですが、ジャングルジムが増えたことで、200人の数の上乗せができて、その分がプラスになっています。

松本:7月にリニューアルをして、8月の入園者は目標の150%を達成しました。また、これまでの遊具は小学校3年生までの利用が多かったのですが、ジャングルジムは小学校高学年の方が多くなり、利用も増えました。

──岡部について、依頼した理由や決め手はなんでしたか。

君塚:前年のリニューアルの時に、クレアルテの柳原社長からの紹介でネットトランポリンをお願いしたのがきっかけです。今回は大きな遊具でしたので、他のお付き合いのあるところなども含めて検討し、最終的に岡部さんにお願いすることにしました。トランポリンを作っていただいた実績がありましたので、岡部さんに安心してお任せできました。

「たっぷり楽しい時間をご提供したい」
社長自ら遊具についてのアイディアを出すこだわり

──制作過程で印書に残っていること、エピソードなどありますか?

君塚:実際とちょっと形状はちがうのですが、岡部さんが作ったネットジャングルジムを、事前に山形まで見に行きました。
山形で見た遊具もかなり大きいものでしたが、横に広がっている形状でしたね。
おやつタウンは建築要件でスペースが決まってしまっていて、その決められたスペースを上手に活用する必要があったので、縦に長い形状です。天井の高さのある建物の形状を生かすドデカイシリーズにしてもらいました。

小野:山形は私が同行させていただきましたが、なかなかの珍道中だったので、思い出に残っています(笑)

松本:設計では、何度もやりとりさせていただきました。高さのパターンを3種類だしていただき、いちばん高いものを採用しました。
高さが違うと、アイテムの数も全く変わってきますし、構造上も難しくなるということで、パイプはどんどん太くなっていきましたね。
設置にも、まるまる2ヶ月ほどかかって、主要工事の日は休業にして工事を進めました。

君塚:進行では、社長からの意見で進んでいたことが途中で変更になり、設計担当さん泣かせのスケジュールになってしまっこともありました。
「おやつタウン」の理念は“たっぷり楽しい”というものですが、これには、社長である松田の想いが詰まっています。「ベビースターラーメン」を食べ続けてくれた多くの皆さんへ感謝の気持ちを込めて、たっぷり楽しい時間をご提供したい。そのために、一つ一つの遊具にもこだわりぬいて、よりよいものにするために社長自らアイディアを出しています。

正野:設計では、より良いものにするための建設的なご意見をいただきながら、繰り返しブラッシュアップしてできあがっていきました。
たとえば、一番上部の張り出している2箇所は、もともとはFRPの球体をつける予定で、球がぶらぶら揺れるものになるはずだったのですが、強度の関係で5〜7ミリという厚さのFRPを使用するため、半透明で中から外は見えません。
外が見えないのではスリルとか面白さがないんじゃないかという社長からのご意見をいただき、中から見えるよう設計変更して、最終的にネットを使うことになりました。
ほぼ100%できあがっていた段階だったので変更は大変でしたが、高いところから下を見下ろせる、迫力とスリルのある遊具に仕上がりました。

小野:使う方目線の発想でのアイデアをいただき、結果、すごくよい形に仕上がったと思います。

──「おやつタウン」の今後の展望、新しく考えていることはありますか。

君塚:我々のような施設を装置産業というんですよ。どこのレジャー施設もそうなんですが、その逃れられない宿命として、新しいものを常に造らなくてはならない。もちろん、スペースに限りがあるので、「おやつタウン」では古いものを壊して新しくする、スクラップ&ビルドを繰り返していきます。
じつは2020年に、大阪のなんばに第2号店をつくったんですよ。「リトルおやつカンパニー」という施設だったんですが、まさしくコロナの大打撃で、残念ながら早期撤退することになりました。
ただ、構想としてはあきらめていません。機会を狙って、まずは国内で2号店を考えていきたいですね。

松本:コロナでしばらくのあいだ大きなイベントができていなかったので、落ち着いてきたら、皆様にもっと楽しんでいただけるイベントをどんどんやっていきたいという気持ちはあります。
今年のクリスマスはシーズンイベントとして、ジャングルジムをクリスマスの音楽にあわせてライトアップするイルミネーションショーを実施しています。とっても綺麗で、大好評をいただいているんですよ!
今後も冬だけではなく、季節ごとにアレンジして、音楽など変えてやっていく予定です。

──今後の岡部に対して期待すること、希望などあればお聞かせください。

君塚:まずは、お客様に安心して楽しんでいただくためのアフターメンテナンスをお願いしたいですね。
我々は常に新しいものを作らなくてはいけない宿命があるので、こちら側からの依頼という形だけでなく、むしろメーカーさんのほうからの提案やアイデアも、積極的にお出しいただけるといいなと思います。

正野:今回も含め、実際に遊具を作る際には、納期や場所の条件、予算などなどいろいろな制約があるため、入れたかったけれどできない遊具もあります。じつは開発中の遊具があるのですが、実際に社内で検証して、安全かどうかを確認しなければ使うことができないので、納期的に取り入れることができなかったものなどもあります。

君塚:そういうのを聞きたいですね。

小野:街中を歩いていると、けっこう遊具のヒントがあるんですよ。たとえば巨大なハートを見かけて、遊具にしてみたいと思ったら、そのヒントから、じゃあ構造的にこれはできるのか、コストはどのぐらいかかるのか、と考えていきます。結構、思いついてもこれは厳しいよね、っていうのもありますが。
いま実際に、四角形の立方体で何かできないかという着想から、岡部が独自に考えたリジナルの遊具を開発して、現実化させようとしている最中です。
これは遊具をキューブ状にして増やしていける遊具で、遊具が増殖して進化していく。たとえば、限られた予算の中で最初に遊具を設置したとして、次の年に少し予算ができたとしたら、そのキューブを増やしていくことができます。

松本:面白いですね。

小野:僕らがアイディアを出しても、実現させる設計が大変なわけですが(笑)
今後は、次なる新しい施設でもお役に立てるよう、お客様に喜んでいただけるオリジナリティーのある遊具を考え、ご提案させていただきたいですね。
本日は、ありがとうございました。