子どもの感性を育てる施設を作りたい
お客様との会話から生まれた「想い」

──こちらの施設を作ることになった経緯・目的をおきかせください。

社長:きっかけは、本業の注文住宅のお客様との会話でした。
弊社で注文住宅を建てる方は、子育て世代もしくはこれから子どもを産んで育てたい世代の方が、ほぼ100%に近い割合。話をしていると、日常の不満だったり夫婦のお互いの愚痴だったり、いろいろなことがでてくるのですが、その中でも特に多いのが子育ては大変という話です。実際うちの娘も3歳で、子育ての大変さをまさに実感していて。子育てに関するいろんな話をお客様としていく中で、子どもの感性とはなんだろうと考えるようになったんですね。

昔から「三つ子の魂百まで」と言われますが、3歳頃までに子どもが得る知識は、大人になっても覚えていることが徐々にわかってきているそうです。たとえば、うちのお客様に大学の言語学の先生がいらっしゃるのですが、その方によると、3歳までにいろんな言語を聞かせると、大人になっても忘れずにいてスムーズにその言語を聞き入れることができるそうなんです。

遊ぶだけじゃなく、色を見たり、触ったり、香りを嗅いだり。感性を育てることは贅沢ではなく、子どもには必要なことなんだなと。そこから徐々にこういう施設を作っていこうか、という考えになりました。

奥様:対象年齢を6歳の未就学児までにしたのは、小さなお子さんの遊び場を作りたかったということもあります。
我が家も子どもがまだ小さいので特に思うんですが、小学校以上のお子さんと一緒に遊ぶ施設だと、大きい子が思いっきり遊んでいるところに入るのは、ちょっと怖いなというのがあって。未就学の小さい子が安心して遊べる場所として喜んでいただける施設が作りたいという思いがありました。

社長:新規事業として始めるのに、かなり思い切った投資をしました。子ども用のものは、とにかく高額です。おもちゃも遊具も、非常に高い。

子ども関連の事業は公共性が高いので、利益がまずとれません。
やっぱり国や自治体から補助してもらう以外に、この事業は成功しないのではないかという不安は、今でもあります。
今のところ公共との結びつきはありません。いずれは一緒にやっていけたらと思いますが、やはり独自に取り組みたいとの思いもあるので、毎日何ができるか考えていますね。

子ども事業では施設の建物自体の価値も重視しました。
ただ単に子どものおもちゃを倉庫のようなところに入れるのではなくて、インテリア性とデザイン性を持った建物を本業の我々が作ることによって、相乗効果が得られると思っています。
昔から、海外にある教会のような三角屋根の建物で子どもたちを遊ばせてあげたいというイメージがあって、前面がガラス張りの目を引くデザインにしました。私のところで建てたものでは、今までになかった形です。木を使ったあたたかみも、デザインの特徴です。

──遊具についての具体的な要望などはありましたか。

小野:今回の遊具は、岡部が作って納めたというよりは、板井建設さんと岡部のコラボレーションという位置付けになりました。
遊具の設計は岡部ですが、建築の会社さんなので、柱などの木材、建物部分は板井さんにお願いしています。岡部はほぼ、この遊具のネット工事だけという形です。 ネットについてはこうして欲しいなどのご要望をいただき、遊具の構造計算も含めて設計の正野が板井建設さんとやりとりをさせてもらいました。

奥様:建物自体大きなものではないので、使い方を色々と考えていました。2階は天井の高さがあるし、遊具がワンフロアだけでは小さいのでロフトをつけたいと思っていたのですが、設計上難しくて。それでネット遊具なら段がなくても多層構造なので遊んでもらえる面積も広がるし、複雑なところも楽しいなと思いました。前面はガラス張りなので、光を通して明るくなりますし。
私は要望を伝えるばかりなので、それを実現してくださるのは大変だったと思います。

小野:正直なかなか大変でした(笑)

奥様:もうちょっと広くならないですかとか、棚作れないですかとか、かなり細かいところまで口出ししていたので、大変だったと思います。素人なので紙の上だけだと広さの感覚などイメージがわかなくて。言うだけ言って、あとはお任せで。
だから、出来上がりが想像以上に満足できる仕上がりになっていて、こんなすごいのができたんだねっていう気持ちになりました。